甲状腺の病気について
そもそも「甲状腺」とは
甲状腺の病気
甲状腺で起こり得る病気は、大きく分けて2つあります。
1つ目が、腫瘍です。これには良性のものと悪性のものがあります。「甲状腺腫瘍」のことです。
2つ目が、ホルモン分泌の異常です。「甲状腺機能低下症」「バセドウ病」「橋本病」などがこれに該当します。
腫瘍とホルモン分泌の異常の両方が起こっている場合もあります。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症とは
先天的なものなど、甲状腺そのものに原因があったり、甲状腺を正常に機能させるための脳下垂体からのホルモンの不足などにより起こるのが「甲状腺機能低下症」です。
さまざまな症状を伴います。
症状
- 疲労感
- 無気力
- 記憶障害
- 体重増加
- 皮膚の乾燥
- 脱毛
- 声枯れ
- むくみ
- 便秘
- 寒気
- 月経異常 など
治療
患者様の甲状腺機能低下症が一過性のものなのか、永続性のあるものなのかを見分け、それぞれに合った適切な治療を行っていきます。
基本的に、薬物での治療となります。
バセドウ病
バセドウ病とは
甲状腺を刺激する抗体(TSH受容体抗体)が原因ではないかと言われていますが、はっきりしたことは分かっていません。甲状腺が大きくなり、甲状腺ホルモンが多量に分泌され、さまざまな症状を伴います。
症状
- 甲状腺の腫大(大きくなること)
- 頻脈
- 眼球突出
- 多汗
- 体重減少
- 疲労感
- 手の震え
- 動悸、息切れ など
治療
バセドウ病の治療では、まず血液中の甲状腺ホルモンの量を低下させ、正常値まで戻す必要があります。甲状腺ホルモンの産生を抑える抗甲状腺薬を内服していくと、甲状腺からのホルモン分泌量が徐々にさがっていきます。おおよそ服用開始から2週間程度で効果が現れ始め、1~2か月程度でかなり改善されます。
橋本病
橋本病とは
若い方から中高年の女性に多いのが特徴で、成人女性に限ると3~10%が橋本病だと言われています。
甲状腺ホルモンの低下から、甲状腺機能低下症に至るケースも見られます。
症状
甲状腺が大きくなります。甲状腺ホルモンの分泌量低下、甲状腺機能低下症に至ると、顔・手・足のむくみ、寒気、体重増加などの症状が現れます。逆に甲状腺ホルモンの分泌量が低下しなければ、症状は見られません。
治療
甲状腺機能が正常である間は、特に治療は必要ありません。
甲状腺機能が低下し、症状が現れている場合には、甲状腺ホルモン剤の服用などで治療を行います。
甲状腺機能が正常であっても、その後低下する可能性がありますので、最低でも半年に一度程度は検査を受けてください。また、甲状腺機能低下に伴う症状(顔・手・足のむくみ、寒気、体重増加など)が現れた場合には、すぐに受診するようにしてください。
甲状腺腫瘍
甲状腺腫瘍とは
甲状腺にできる腫瘍には、良性のものと、悪性のもの(がん)があります。
悪性腫瘍の80%以上は乳頭がんであり、ほとんどが手術で治療できる、比較的おとなしいがんです。
また多くは自覚症状を伴わず、他の病気の検査で発見されるケースが目立ちます。
検査
血液検査、超音波検査、細胞診検査、X線検査などで診断します。
症状
- 甲状腺(首)の腫れ
- 喉の違和感
- 声がれ
- しこり など
治療
良性腫瘍の場合
ほとんどの場合、手術は必要なく、経過観察を行います。腫瘍が大きい場合には、腫瘍内部の液体を注射器で抜いたり、エタノール注入による縮小化、手術などで対応します。